東京塩麹

Hot New Sounds !! 〜duo Live Report vol.28〜
“東京ザヴィヌルバッハ×東京塩麹” @六本木SuperDeluxe
2018/2/12 mon.
text by 櫻井 央 (duo MUSIC EXCHANGE)
photo by 長塩禮子

東京の地下空間で香り立つ“人力ミニマル”の正体とは？

塩麹屋の看板を掲げ、八人の従業員で営業する音楽集団“東京塩麹”。自身の音楽を“人力ミニマル”と称し、ミニマル・ミュージックをより親しみやすい形で布教する彼らが、今夜は、東京サヴィヌルバッハとのツーマンイベントに参戦。六本木のクリエイティヴ空間SuperDeluxeに、塩麹の香りを漂わせた。

地下にある会場内へと降りると、コンクリート打放しの洒落たギャラリーのような空間が広がり、フロアは、グラスを片手に、開演までの時間を思い思いに楽しんでいる。そろそろ開演時間といったところで、灯りがゆっくりと暗くなっていくと、おもむろに登場した東京塩麹の八人が、ステージのそれぞれの楽器の配置についていく。主宰（Key）の額田が一言挨拶し、まずは一曲目“ふてぶて都市”を演奏。一つのピアノの旋律から、有機的に楽器の音が連なっていき、やがてアグレッシヴな音塊へと変化していく。続いて、パーカッションのリズムを中心に、無限大にサウンドが積み重ねられていく様が心地よい“Factory”。額田曰く、人力ミニマルとは「電子音楽的なことを、生演奏でやり、とにかくめっちゃ繰り返す」とのこと。まるで学校の授業のように、オーディエンスに寄り添いながら、自身の音楽をしっかりと噛み砕きながら説明していく。

3曲目は、今回のイベントのイメージがつかめる曲ということで、“そこはかV”を演奏。一貫してリズムはプリミティヴだが、そこで紡がれるサウンドは、極めてアーバンでクール。まさに“東京塩麹”を代表する一曲だ。 八人のメンバー紹介と、1stDVD『REFORM』発売のアナウンスを経て、“Short Short Summer Vacation”、 “WONDA BOSS AND FIRE GEORGIA”を披露。“WONDA BOSS AND FIRE GEORGIA”は、額田が、缶コーヒーのモニターの調査アルバイトをしていた際にインスパイアされたという、ユニークかつインダストリアルな作品。

終盤は、まずミニマル・ミュージックの先駆者 スティーブ・ライヒの“Clapping Music”を、オーディエンスと一緒に演奏。温かい緊張感にフロアが包まれる。個人的にハイライトだったのが、7曲目の新曲“You Can Dance”。どっしりと低音が響く不穏なイメージから、ホーン隊とギターがメロディアスに奏で、色数は多いがトーンの暗い映画のような世界観に連れ込まれる不思議な感覚に陥った。ラストスパートは、VJとボーカルermhoiを招き、“誰も見ていない”、“Tokio”を演奏。会場全体を幾何学模様のアートイメージが包み込み、彼らの都会的なサウンドと相まって、伝統とテクノロジーの入り混じる未来の東京のイメージを引き起こさせた。

今後の商品展開が非常に楽しみな“東京塩麹”。彼らの醍醐味は生演奏にこそあるので、是非、蔵（ライブハウス）まで足を運んでご賞味あれ。

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