神保 彰
フュージョンバンド、カシオペアのドラマーとしてデビュー後、1980年代から音楽界の最先端を走り続け、2007年には「世界が尊敬する日本人100人」に選出された世界的なドラマー、神保 彰。そんな神保自身が編み出した、MIDIドラム・トリガーシステムによる楽曲のメロディやベース部分と、生ドラムを一人で叩き出す多重演奏のソロパフォーマンス“ワンマンオーケストラ”は、従来の音楽ファン以外からも熱い支持を得ている。shibuya duo MUSIC EXCHANGEにて毎年恒例となっているワンマンオーケストラが2008年1月6日に開催!
interview & text by 牧野りえ
──まずはワンマンオーケストを始めたきっかけから聞かせてください。
神保 彰:80年代初頭に電子ドラムというものが出てきまして。最初は本当に簡単なことしかできなかったのですが、機材の進歩と共にメロディーやベース部分、ハーモニーといった機能がどんどん加わっていったんですね。当時、僕が加入していたカシオペアというバンドで、ドラムソロの中にその電子ドラムの要素を持ち込んでやったらものすごくウケたんですよ。さらに発展させていったら面白いんじゃないかっていう手応えを感じて。それからひょっとすると一人でできるかもしれないなというところまでネタが増えていったんですね。当時、六本木にあったPIT INNの店長さんが「神保くん、一回一人でやってみたら?」と言ってくれたんです。それで96年に初めて“神保彰ソロドラムパフォーマンス・ワンマンオーケストラ”と名付けてライブをやったのが最初ですね。
──当初は音源を流しながらドラムソロをやっているように思われませんでしたか?
神保 彰:そうですね。何にも説明しないと“ああ、カラオケと合わせてやってるんだろうな”と思われてしまうんですが、よく観るとすごい無駄な動きが多いですよ(笑)。メロディ部分も叩いて音を出してるので。
──たとえば映画の主題歌だったり、洋邦問わずいろんな楽曲を演奏されてますよね。
神保 彰:音楽ってもともとジャンルとか聴く世代の垣根はなかったはずなんですけど、今はこう細分化されてますよね。若い人は若い人の音楽、おじさんたちはおじさんの音楽みたいに(笑)。できれば僕はそういうのを取り払って、ジャンルも世代も関係なく誰が観ても面白いなと思えるようなエンターテイントを目指したいなと思ってるんですよ。
──バンド形態や、カラオケと合わせてドラムを叩くのとは違う、ワンマンオーケストラの面白さってどんなところですか?
神保 彰:面白さはやっぱり自分がすべてを統一する、オーケストラの指揮者になったような快感あるところですね。カラオケでやるのももちろんいいんですけども、予めできている枠に自分が合わせるので完全に縛られますよね。ワンマンオーケストラはその主従の関係が逆転してるというか、自分が主なところが大きな魅力ですね。
──反対に、ワンマンオーケストラはパーツ毎にメロディやベースなどが組み込まれている分、叩き間違えたら大変なことになりそうですね(笑)。
神保 彰:大変なことに何回もなってます(笑)。間違いに気づいたお客様は笑いながら観てますね。
──年明け恒例のshibuya duo MUSIC EXCHANGEでのワンマンオーケストラですが、2018年は1月6日に行われますね。
神保 彰:以前は1月3日とかね、年明け早々にやったんですけど。それも傍迷惑じゃないかと思って最近はちょっと後倒しにしてます(笑)。そのduoでの公演の時にレパートリーをガラッと変えるんですね。そこからその1年はほぼ固定メニューでやっていく感じなんですよ。
──すでに準備に入られていますか?
神保 彰:選曲はだいたい決まりました。最近オリジナル曲はほとんどやらず、ほぼ全曲カバーなんですよ。パフォーマンスっていうところにフォーカスを当てて、“ドラムの演奏でこんなことができるんだな”という新しい世界を提示できればなと思ってます。
──お話できる範囲で何か選曲や演出で決まっていることはありますか?
神保 彰:自分がやりたいなと思う曲はほぼ網羅した感じなんですよね。レパートリーももう300曲ぐらいあるので。今回はちょっと今まで手つかずのジャンルで、アイドルの曲をやってみようと思ってるんですよ。
──最近のアイドルですか?
神保 彰:最近のアイドルです(笑)。楽曲としてカッコいいなと思う曲がいっぱいあるんですよ。今のタイミングではそれぐらいしか言えないかな(笑)。
──誰なのか気になりますね!(笑)。duo公演で珍しいのは「ステージ指定席」があり、ドラムセットを囲むようにステージ上にも席が設けられてるんですよね。
神保 彰:duoで始めた時からずっとそのスタイルで、恒例になっているんですけど。ドラムをやってる人は足の動きも観たいと思うんですね。後ろ斜め45度というのがベストポジションなんです。ドラムを演奏してる人はたぶん後ろから観たほうが面白いと思うし、ドラムをやってない人も“ドラムってこんなに忙しくやってるんだな”っていうことがわかって楽しめると思います。
──さらに「学生キャッシュバック」があり、当日学生証を提示すると一般チケット代の半額がキャッシュバックされるという。
神保 彰:それも最初からやってますね。若い人にも観てもらいたいなと思って。僕はカシオペアでデビューしてからもうかれこれ40年ぐらい経つので。その当時のいわゆるフュージョンのファンの年齢層も高くなっていて。ワンマンオーケストラでは誰でも知ってる曲を演奏してるので、学生さんが聴いてもきっと楽しんでもらえるだろうなと思って。中には親子二代で来てくれていて嬉しいですね。楽器を演奏する楽しさみたいなのを感じてもらえたらいいなと思ってます。
──また今回、MUSIC for LILEのほうでチケットを購入された方の中から抽選で 105名様に、「神保彰 使用済みドラムヘッド」をサイン入りでプレゼントされるそうですね。
神保 彰:これがまたすごい豪華なんですよ。ドラムのヘッドってある程度傷んでくると交換するんですよ。それを1年溜めてると膨大な量になるんです。僕もこんなに豪華になるとは思ってなかったですね。
──ところで元旦にはソロアルバムを2作品リリースされますが、どのような作品になりましたか?
神保 彰:毎年ロサンゼルスでレコーディングしていて、今回は22枚目と23枚目のオリジナルアルバムを同時に制作してきたんですよ。2枚同時に作るのは初めてなんですけど、固定メンバーで1枚作って、新しく一緒にやるメンバーでもう1枚作ったんです。共通するポイントはあるんですけれども、全然コンセプトが違っていて。固定メンバーで作った『Twenty Two Southbound』はラテンっぽい曲をやっていて、新しいメンバーと作った『Twenty Three Westbound』はちょっと都会的なものをやってます。渾身の2作ですのでそちらも是非楽しみにしていただきたいですね。
──duo公演ではオリジナル作品からは演奏されないということですが、新作を聴いた後に是非生で神保さんのドラムパフォーマンスを観ていただきたいですね。
神保 彰:そうですね。ドラマーが一人で何やるんだろう?って思われると思うんですね。しかもすごくコアなことをやるんじゃないかって。来てくだされば全然そうじゃないんだなってわかっていただけると思います。是非その壁を取り払って一回観に来ていただきたいですね。
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