傳田真央
18年間の活動の歩み/軌跡を収録したベストアルバム『Eternal Best 2000-2018』をリリースした傳田真央。5月2日(水)には、shibuya duo MUSIC EXCHANGEを舞台に「傳田真央 Eternal Voice Tour 2018 ~Premium Final in TOKYO~」を開催。このライブを持って、彼女はしばらく活動を止める。その理由も含め、傳田真央の今を伺った。
interview & text by 長澤智典
――20周年ではなく、なぜ18年目にベスト盤を発売したのか。そこから教えてください。
●昨年、4年半ぶりに『Love for Sale』というアルバムを発売しました。そのアルバムの制作で自分なりに表現したい音楽性を形にでき、手応えを感じたことが強かったんだと思います。それもあって、すぐに次の作品を作るというよりは、「何かを新たに求めることや意識を向けるのはまだ早いかな」という気持ちがありました。最近のピアノ弾き語りでのライブ活動を通し、ファンの方々に身近な距離で歌を聞いていただく経験も重ねてきました。それらを通して感じていたのが、「これまでに活動してきた傳田真央としての歩みを、改めて応援してくれる人たちとシェアしたいな」という想いです。そこから、「18年間に渡る傳田真央の歩みを一つにまとめあげよう」と思い、ベストアルバムを作ろうと決めました。
――18年間という歩みの中へも、世の中はもちろん、真央さん自身にも、活動を続けてゆく中でいろんな心の変遷があったわけですよね。
●もちろん(笑)。自分の中で明確な意志を固める前に、まわりの勢いに押される形でデビューをしました。歌のスキルやメンタル面に於いて、デビューして以降少しずつ経験を重ねながら、プロとしての意識を固めてきました。
――世の中は、R&Bムーブメントが巻き起こっている時期。真央さんも、その中の輝く存在の一人として脚光を浴びていましたよね。
●いわゆるDIVA系ですよね。両親がクラシック畑のミュージシャンであり、わたしも音大でピアノを専攻していました。その当時、プライベートで好んで聞いて憧れていたのが、X JAPANやLArc-en-Cielなどのロック系アーティストでした。きっかけがあったとはいえ、シンガーとして生きてくという決意が固まる以前にデビューし、気がついたらR&BやHIP HOPムーブメントの中、歌姫ブームの潮流へわたしも呑み込まれていました。もちろん、ブラックミュージックを聞いてたように、それが嫌なわけではなく。もともとはプレイヤーでありながら歌の道でチャンスをつかんだように、100%を求めることへ没頭していたのではなく、つねに「本当の自分とは」「本当にわたしのやりたいことは何だろう」と悩んでいた時期が長くありました。それで、ちょっとお休みを置いた時期もあれば、MAO/dという名前で活動をしたりと、自分らしさを模索しながら歩んできました。
――でも、傳田真央名義で活動を再開し発売したシングル『Bitter Sweet』頃からは、みずから作詞作曲はもちろん、演奏やアレンジ面でも深く自分の色を出し始めたように、傳田真央らしい道筋を描いてた印象もあります。
●その後に出したアルバム『恋愛中毒』以降からは、歌詞の面でも、わたしの中のダークサイドな部分を表現し、胸にグサグサと突き刺さる言葉として記したり。今回のベスト盤にも入れましたが、『Like a Rockstar』のような、ロックチューンも描いたり。そうやって、一人の女性として自分探しをしながら、色々な作品を通し、みずから生きる足跡を残してきました。それをようやくアルバム『Love for Sale』の中へナチュラルな形で投影することが出来た。だからこそ、わたし自身が一度、自分の音楽人生の歩みを振り返り、まとめるためにも、今回ベストアルバムを作ることに決めたわけなんです。
――だから選曲も、シングル盤を中心にしながらも、いろんな時代を彩った楽曲たちをまんべんなく散りばめた形になったんですね。
●聞いてくださる方々が、当時の気持ちへ戻れるタイムマシーンのような作品になってくれたら嬉しいなぁと思います。インストアイベントを行うたびに、よく「傳田真央世代です」と言ってくださる、デビュー当時から聞いてくれている世代の方もいれば、アルバム『恋愛中毒』の時期に着うたで支持を集めていたこともあって、着うた世代の音楽を楽しんでくださっている方。弾き語りなども含め、バラード系なども好む、最近の傳田真央の歌を好きになってくれた世代など、わたしの場合は大きく分けて三つの世代の方々がいます。そういう人たちが、それぞれの楽曲に懐かしさはもちろん、この『Eternal Best 2000-2018』というアルバムを通し、新たな傳田真央を発見していただけたらさらに嬉しく思います。今回のベストアルバムは過去から現在を振り返る目的を持ちながらも、18年間という長い歩みがあるからこそ、その時代ごとに歌詞の内容や歌声にも変化が現れているように、ぜひ、わたし自身の18年間の道のりも感じて欲しい作品です。
――アルバムには、今の真央さんの気持ちを飾らず等身大で詰め込んだ新曲『Best Friend Forever』も収録しています。飾らぬプライベートな姿を映したMVも含め、最期にナチュラルな真央さんを味わえたのが嬉しかったです。
●これまでは、キメキメの傳田真央を見せることが多かったですからね(笑)。だからこそ、今回は何も飾らない、恰好もつけてない、今の傳田真央の想いを感じていただけたらなと思います。映像も、日々のドキュメンタリー風になっていますから、そこも楽しんで欲しいです。わたし個人としては、デビューからズラッとMVを収録したDVDは、あまりにも恥ずかしくなるから見れないのですが(笑)。みなさんは、その変化ぶりもぜひ楽しんでください。わたし自身、18年間の自分を包み隠さず全部出した気分にもなれているように、もう何でもさらけ出せちゃえますから(笑)
――アルバムを手に、4月下旬より大阪/長野/東京でワンマンライブも決まっています。今回は、3本とも内容が異なると聞きました。
●大阪と長野では「DEN夜会」と題し、トーク&ライブ形式で実施します。今回はアットホームな環境で、みなさんからの質問も受けつつ、ざっくばらんにお話します。とくに長野公演では、過去の秘蔵映像も上映し、一緒に泣き笑い楽しめたらなと思っています。そして5月2日にshibuya duo MUSIC EXCHANGEで行う東京公演は、バンド編成でのライブになるのですが。この日は久しぶりにR&Bな傳田真央を解禁します。さすがに活動初期の頃のようなダンスパフォーマンスは難しいですが(笑)。久しぶりに歌い踊るDIVAな傳田真央の姿をお見せしたいなと思います。
――それ、嬉しい人めっちゃ多いですよ!!
●わたし自身は、ドキドキですけど(笑)。
――5月2日のライブを持って、真央さんはしばし休み期間へ入ります。
●引退ではなく、しばらく表だった活動をお休みしようと思っています。わたし自身音楽活動以外の人生は考えられないように引退の言葉はあり得ないんですけど。まだ、先のことは何も決めていませんが、改めて今一度自分の音楽人生を振り返る時間を持ち、そのうえでまた音楽活動をしていこうと思います。
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